超短編小説and雑文・morimorispyのブログ

ちょっと、短編小説らしきものを書いてます。日々の雑文も書いてます。

ともだち・短編小説


You've Got A Friend / Carole King

公園を二人で歩いていると、次第にまいさんは饒舌になっていった。

「私たち、友だちだよね。」と爽やかな笑い顔をまいさんはみせた。

「そうだよ、というか、そうでありたいよね。」

「なんだか、昔からの親友と会った気持ち。keiさんは?」

私はそうであればうれしいと短く照れて、答えた。

「私ね、絶対生きている間にしたいことがある。」

「なんだい?」

通信制の大学に通うこと。」

「そうなんだ。」

「keiさんは大学出てるんでしょ。」

「まあ、一応。」と言った。中退であることは言わなかった。

「すごい。私はね、心理カウンセラーになりたいの。いろんな人を癒してあげたい。それが私の今のところの生きる原動力。」

あまりに、まいさんが楽観的に夢を語るので、意地悪を私はしたくなった。

「大学の資金はどう稼ぐの?コンビニのバイトで大学いくの?」

「それは・・・わからない。」

まいさんはむっとして、

「keiさんは人生の夢とかあるの?」

「ないよ。ただ老後の年金は欲しい。」

「そんなんで生きてて楽しい?」

「そうだね、楽しくないね。」

二人の間に気まずい沈黙が流れた。

「友情、もう、危機だね(笑)」

と、まいさんが言った。

まいさんは、頭のいい女性だと、私は思った。大学に行くにしろ、行かないにしろ。