超短編小説and雑文・morimorispyのブログ

ちょっと、短編小説らしきものを書いてます。日々の雑文も書いてます。

そのあと


Doobie Brothers - Long Train Running

それで、ローソンの女性店員とは頻繁にその日の夜、メールのやり取りをした。だんだん親しくなって、女は32歳だと判明した。メールで聞いてもいないのに、

「当方、現在、32ちゃいでちゅ。」という文言を送ってきたからだった。

朝のローソンで見る顔の表情からして、それは間違いなかろうと思った。

「ちみはなんさい?」

私はパソコンの前でしばらく考えた。果たして自分は何歳に見えるのか、聞いてみたかった。が、生真面目な人だと思われるだけでは、昔と同じパターンをたどる。勇気を出して、幼児語を使った。

「小生はヨンジュッチャイでごじゃる。」

「ちみ、へんたいでしょ?」多分、その女の文言から、メールのやり取りが加速化して、チャット状態になった。互いの欲望が透けて見えるようだった。

「小生はそちらのなまえがききちゃい。」

これで終わるだろうか。終わらないだろうか。ささやかな関係が、と、失うことの、まだ、何も得てはいないのに、恐怖が生じた。しばらく、あちらからのメールが途絶えた。

 

「まいです。舞と書きます。でも『まい』と書いてください。そして、そう呼んでください。もし会った時は。どこかで。」

私に義務感が生じた。この女が欲していることがなんなのかを推測した。

「まいさん、その『どこかで』をローソン近くの公園と具体的にしませんか。」

と私は最近で最大の勇気を振り絞って、メールを送った。