超短編小説and雑文・morimorispyのブログ

ちょっと、短編小説らしきものを書いてます。日々の雑文も書いてます。

walking in the park on Saturday


Saturday in the Park- Chicago

土曜の昼下がりの公園とはいえ、今年は暖冬だったが、新幹線の高架橋下の公園は、時折の寒風が吹いた。それに新幹線の走る轟音が何か寒々しさを倍加させた。

私はベンチで待っていた。その「まい」という女性を。彼女についてわかっていることは、近くのローソンで働いていること、メルアドとその女性が名乗る名が「まい」であること。

それ以外は知らない。だが、古くからの友人のような気がした。どちらかというと、私の東京時代の友人たちに似ていた。何かしら薄幸な雰囲気を漂わせて、が、仕事では、けだるさはみせず、だが、たまに後ろから見る後れ毛が、やけにセクシーだった。そして、女であることに無頓着な耳にかかるほつれ毛。

肩にすこし、重みを感じた。

「keiさんですよね?」

「ああ、まいさん?」後ろを振り向いて、私は驚いて、反射的に言った。

まいさんが言った。「少し歩きませんか?」そうだ、我我はもうすでに会っている。もう何回も。ローソンで。緊張する必要はない。気後れする必要はない。そう自分に言い聞かせた。

「keiさんは、お仕事?」

「ああ、ぼくですか。NPO法人の下っ端で働いています。」

NPO法人って何をやっているんですか?よく聞くんですが。」

「ああ、俺はパン作りです。障害者と。」

「ああ、そうですか。難しんでしょ。」まいさんは解らないながらも、話についてきてくれた。

「慣れれば簡単ですよ。だから、」

「だから、」

「給金は安いです。」

「ええ(笑)!!」とまいさんは笑った。「てっきり、売れない演歌歌手かとおもった。」

今度は私が笑う番だった。気分が久しぶりに高揚していたのが自分でもわかった。