超短編小説and雑文・morimorispyのブログ

ちょっと、短編小説らしきものを書いてます。日々の雑文も書いてます。

現実には・雑文

いよいよ、小説シリーズも佳境です。あと2,3回で終わる感じです。

コンビニの店員さんにメルアドを教えたという現実の出来事から、フィクションが派生しました。

その店員さんとはメールのやり取りを、ごくたまにしているだけです。現実には。

フィクションを書くというのは、本当に不思議な体験です。

一昨日の深夜から昨日の早朝にかけて、ところどころノートに下書きまでして、書いていました。

この熱意は、ホントに不思議なことです。

嘘と女・短編小説


George Michael - Father Figure

「私、帰んないと。」とまいさんが言った。

「少し・・・俺の部屋によらないかい?少し。」

まいさんは、近くのベンチに座った。ジーンズをはいた足を組んだ。私の申し出に面食らったのかもしれなかった。私もベンチに座った。まいさんの横顔を見守った。まいさんは何をか熟考しているようだった。

まいさんは首を縦に振り、「いいよ。行こう。」と言った。覚悟を決めたというように。私は自分が悪辣なことをしていると思った。まいさんと私は公園近くの私のアパートへ、向かった。

「やっぱり、だめかな、大学へ行くという考え。」

日本中を貧困が蝕んでいた。恐ろしく早いスピードで。私やまいさんはその貧困の一部だった。もはや、大学は私たちにとって過ぎたぜいたく品だった。だが、それを言うのはためらわれた。

「努力すれば、なんだってかなうと思う。」と私は言った。それは嘘だった。

「さっきはゴメン。」謝罪は本当だった。

まいさんが歩きながら、私の左手を握ってきた。

「ウソでもいいから、そう言ってくれてうれしい。それが中年の優しさなのかな。お父さんみたい。」と、まいさんは言った。お互いが笑った。

私のアパートに近づいてきた。腹の底から鈍痛が湧き上がった。

ともだち・短編小説


You've Got A Friend / Carole King

公園を二人で歩いていると、次第にまいさんは饒舌になっていった。

「私たち、友だちだよね。」と爽やかな笑い顔をまいさんはみせた。

「そうだよ、というか、そうでありたいよね。」

「なんだか、昔からの親友と会った気持ち。keiさんは?」

私はそうであればうれしいと短く照れて、答えた。

「私ね、絶対生きている間にしたいことがある。」

「なんだい?」

通信制の大学に通うこと。」

「そうなんだ。」

「keiさんは大学出てるんでしょ。」

「まあ、一応。」と言った。中退であることは言わなかった。

「すごい。私はね、心理カウンセラーになりたいの。いろんな人を癒してあげたい。それが私の今のところの生きる原動力。」

あまりに、まいさんが楽観的に夢を語るので、意地悪を私はしたくなった。

「大学の資金はどう稼ぐの?コンビニのバイトで大学いくの?」

「それは・・・わからない。」

まいさんはむっとして、

「keiさんは人生の夢とかあるの?」

「ないよ。ただ老後の年金は欲しい。」

「そんなんで生きてて楽しい?」

「そうだね、楽しくないね。」

二人の間に気まずい沈黙が流れた。

「友情、もう、危機だね(笑)」

と、まいさんが言った。

まいさんは、頭のいい女性だと、私は思った。大学に行くにしろ、行かないにしろ。

決断した瞬間は気持ちいいが・・・雑文

私は、エイヤッと決断する、時が昔からあって、その時の爽やかな心地よさと勇気のみなぎる、心の状態が快感だったが、この歳になると、あの時、あんな決断しなければなあ、という思いをするときがある。

今のバイト先を当分やめないことに決めた。ハロワ通いはやめない。やめないと決めたのはエイヤッとやめるのを決断して、後悔するのが怖いからだ。

やめないのは決断しないための決断。

 

試みのあと・雑文

短編小説が積み重なって、長編小説になったらおもしろいなあ。と思い、ちょっと、つながりのある短編小説らしきものをブログの題名も変えて書いてみたのですが、

私にとっては大変なことで、しょっちゅう、あらすじや構成、文体、登場人物などを最近、考えすぎて、頭の中が大変なことになったので、ちょっと、日常生活に支障がない程度に、短編小説を時折、書く程度にして、

普段は力を抜いて、なんとなしに、雑文を書く程度したいと思いまして、あまりよくないことだとは思いますが、もう一度、ブログの題名を変えて、初心にかえり、適当に、なんとはなしに、日々、感じたことを書く程度にしようと思いまして、また題名を変えた次第です。

それで、小説を書く試みは、本当に大変だなあ、と思いました。

あくまで趣味として、ときどき書いてみたいと思います。

それで、フィクションと現実というのは良くわからないものですが、エッセイと小説というのもよくわからないけども、なにがしか、これらは境目があるということを小説を書く試みで感じました。

それが収穫でした。

walking in the park on Saturday


Saturday in the Park- Chicago

土曜の昼下がりの公園とはいえ、今年は暖冬だったが、新幹線の高架橋下の公園は、時折の寒風が吹いた。それに新幹線の走る轟音が何か寒々しさを倍加させた。

私はベンチで待っていた。その「まい」という女性を。彼女についてわかっていることは、近くのローソンで働いていること、メルアドとその女性が名乗る名が「まい」であること。

それ以外は知らない。だが、古くからの友人のような気がした。どちらかというと、私の東京時代の友人たちに似ていた。何かしら薄幸な雰囲気を漂わせて、が、仕事では、けだるさはみせず、だが、たまに後ろから見る後れ毛が、やけにセクシーだった。そして、女であることに無頓着な耳にかかるほつれ毛。

肩にすこし、重みを感じた。

「keiさんですよね?」

「ああ、まいさん?」後ろを振り向いて、私は驚いて、反射的に言った。

まいさんが言った。「少し歩きませんか?」そうだ、我我はもうすでに会っている。もう何回も。ローソンで。緊張する必要はない。気後れする必要はない。そう自分に言い聞かせた。

「keiさんは、お仕事?」

「ああ、ぼくですか。NPO法人の下っ端で働いています。」

NPO法人って何をやっているんですか?よく聞くんですが。」

「ああ、俺はパン作りです。障害者と。」

「ああ、そうですか。難しんでしょ。」まいさんは解らないながらも、話についてきてくれた。

「慣れれば簡単ですよ。だから、」

「だから、」

「給金は安いです。」

「ええ(笑)!!」とまいさんは笑った。「てっきり、売れない演歌歌手かとおもった。」

今度は私が笑う番だった。気分が久しぶりに高揚していたのが自分でもわかった。